生活保護基準引き下げ方針を撤回する等の要望書

要 望 書

2017年12月27日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

 

生活保護基準引き下げに反対します(緊急ホットライン)実行委員会

代表 森 川   清

 

第1 要望の趣旨

1 厚生労働省は、生活保護利用当事者の真摯かつ悲痛な声を受け止めて、現在進めている生活保護基準の見直し案に基づく生活扶助基準(母子加算、児童養育加算を含む。)の引下げを撤回すること

2 厚生労働省は、生活保護基準の見直しにあたって生活保護利用当事者(以下「当事者」という。)を審議会に参加させ、当事者の意見の聴取および具体的な家計状況の調査を大規模に実施して、当事者の意見および事情を反映させた見直しをすること

3 内閣は、上記生活扶助基準引下げ部分について第1項の撤回に基づいて予算案の変更をすること

 を要望する。

 

第2 要望の理由

1 厚労省案の発表

  厚生労働省は、2017年12月8日に母子加算及び児童養育加算を含む生活扶助基準の引下げ方針を発表し、その後、同月14日付け社会保障審議会生活保護基準部会報告書(以下「報告書」という。)を受けるかたちで、2018年10月から生活扶助を3年かけて最大5%引き下げる方針を示し、見直しにより生活保護費は3年間で160億円とされている。そのうち、母子加算(子一人)については月額約5000円、児童養育加算の3歳未満児については月額5000円の引下げをしようとしている(以上をまとめて「厚労省案」という。)。

  2017年12月22日、内閣は、厚労省案に基づく生活扶助基準引下げを含んだ予算案を閣議決定した。

2 当事者を蔑ろにした厚労省案の問題

  報告書においては、2013年から行われた生活保護基準の大幅な引下げの影響の把握・評価について、生活保護利用当事者(以下「当事者」という。)の生活扶助基準の増減額の割合、家計の支出割合の統計的な推移の報告にとどまっていることが明らかにされている。

  生活保護基準は、生活保護法8条2項により「必要な事情を考慮」することが強く要求されており、必要な事情を把握するためには、当事者などの影響を強く受ける人々の生活実態について大規模なインタビューや家計調査などを実施する必要があるにもかかわらず、いずれも実施されていない。

 また、Nothing About Us Without Us (私たちのことを、私たち抜きに決めないで)という考え方は生活保護においても適用されるべきであって、基準部会の議論に当事者の参加が求められるべきであるが、生活保護においては2017年3月の小田原市生活保護行政のあり方検討会以外に当事者の参加がなされていない。

3 ホットラインの開催

  当事者が蔑ろにされている中で生活保護基準引下げがなされる状況のなか、生活保護問題に取り組む法律家及び市民の有志である我々は、実行委員会を組織し、厚生労働大臣に当事者の切実な生活状況及び意見を伝えるべく、2017年12月26日午前10時から午後7時まで東京・さいたま・大阪で電話13回線により「生活保護基準引き下げに反対します(緊急ホットライン)」を開催した。

 電話は、同日午後7時まで鳴り止まず、多数の電話が寄せられた。

4 2013年引下げの影響

 当事者からは、2013年からの引下げによって、①食事が削られている(中にはおかずがなく白米に醤油をかけて食べることもあるというものも複数あった)、②入浴回数が月に1回になってしまっている、③耐久消費財を購入する資金を保有する余裕が全くなく耐久消費財が壊れてしまったら買い換えられない、④衣服を買う余裕がなくサイズの合わない昔の服を着続けている、⑤冬はコタツだけで暖をとって暖房を使えない、⑥真冬に灯油が買えず肺炎になった、⑦交際費が捻出できず一切外出しない、などの声が寄せられる。

 これらはいずれも日本国憲法が保障する「健康で文化的な」生活とは程遠いものというべきである。

 厚生労働省は、かかる声があることを踏まえて、まずは2013年から行われた生活保護基準の大幅な引下げにより当事者にどのような影響があるかについて徹底的に調査すべきである。

5 今回引下げで保護費が減額された場合にどうするか

  寄せられた声の中には、今回厚労省案により生活扶助基準引下げがなされ、3000円が減額された場合、衣服は普段から買っていないので、食費を削るしかないという意見も多かった。

  また、これまで節約をし続けて、これ以上、生活費のどこを削ったらいいか想像もできないという意見も複数寄せられた。

  中には、3袋100円のうどんを買って毎昼食べているが、いつも素うどんではさびしいので、卵をかけている。今回保護費が減額したら、卵をかけるのをやめるしかないという当事者もいた。それでも数百円しか節約できず、あとはご飯を削る、そこから先は想像できないという意見であった。

 このように引下げ後の自分たちの生活について、想像もできず、自分たちの生活にビジョンを抱けない当事者が複数いる。低所得者との比較によって引き下げようとする厚労省案は、具体的な当事者の生活について、全くビジョンを欠いているというべきである。

6 まとめ

  本ホットラインにおいて、当事者からは「生活していけない」「死んでくれと言われているようだ」「死ぬしかない」「弱いものいじめはしないでほしい」「当事者の声を聞いてほしい」「逆にあげてほしい」など、意見が多く寄せられた。

  厚生労働省は、生活保護利用当事者の真摯かつ悲痛な声を受け止めて、当事者の意見および事情を反映させていない厚労省案に基づく見直しを含めて引下げを伴う生活保護基準の見直しを撤回すべきであり、内閣は、閣議決定した予算案のうち生活扶助基準引下げの部分を上記撤回に基づいて変更すべきである。

   

 

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生活保護基準の引き下げ方針に対する緊急声明

生活保護基準の引き下げ方針に対する緊急声明

ホームレス総合相談ネットワーク

事務局長 高 田 一 宏

 

私たちホームレス総合相談ネットワークは、ホームレス状態にある方たちへの法的支援を行うために、2003年2月に結成されたグループです。メンバーは、弁護士、司法書士、その他専門家、ホームレス問題の支援者などです。

平成291214日開催された社会保障審議会生活保護基準部会(以下「基準部会」)により社会保障審議会生活保護基準部会報告書(以下「報告書」)がとりまとめられたことを受け、緊急に声明を発します。

今でさえ低きに過ぎる、生活保護基準がこれ以上下がることに断固反対します。

その理由は、次のとおりです。

私たちが日常に支援するホームレス状態の人びとは、住居を失い衣食を欠く、絶対的貧困状態にあります。

確かに、ホームレス状態の人の生活実態は、比較対象である一般低所得層たる全国消費実態調査からも除外されていますが、絶対的貧困にもかかわらず、生活保護制度を利用できない/しない、理由を検証する必要があります。

理由の一つには、いわゆる水際作戦と言われる、保護を開始しない/保護は開始するが劣悪施設に収容する、という違法・不当な運用にありますが、特に、注視すべきは、ホームレスであった者もひとたび保護を受ければ、通常の被保護者・低所得者であるものかかわらず、ホームレスであった者として扱われ、劣悪施設に長期にわたり収容される差別(スティグマ)が続くことにあります。

そして、スティグマの存在は、決してホームレス特有の問題ではなことは、国連社会権規約委員会から、20135月最終見解として、「スティグマが高齢者に公的な福祉的給付の申請を思いとどまらせていること」に懸念を示された上で、「公的な福祉的給付に付随したスティグマをなくす観点から国民を教育すること」を勧告されていることからも明らかです。

スティグマの解消という国の責任を果たせていない現状において、単純に第1十分位(低所得者)との比較により、検証すれば、際限なく基準額は下がります。国は、少なからず生活保護が尊厳との引換給付となっている現状を直ちに解消すべきであり、無差別平等に保護が受けられる法の原理を徹底させることにこそ力を注ぐべきです。

以上

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明治公園で行われた事実上の強制立ち退きに対する質問書

当ネットワークのメンバーが中心となった、宮下公園国賠訴訟弁護団が、平成28年1月27日未明に明治公園で行われた事実上の強制立ち退きについて、強制立ち退きを実施したJSCに対して、強制立ち退きの法的根拠等について質問をしました。

ご連絡(質問書)

 

独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC) 御中

 理事長 大東 和美 殿

 新国立競技場設置本部 ご担当者 殿

ファクス(JSC管理部総務課)

 

2016年1月29日

 

弁護士  山本 志都(連絡担当)

墨東法律事務所

〒 136-0071 江東区亀戸2-28-3 アセッツ亀戸4階

弁護士  戸舘 圭之

戸舘圭之法律事務所  

102-0083 千代田区麹町2-12-13  LYNX麹町7 

 

 初めてご連絡します。

私たちは、2010年9月渋谷区立宮下公園で行われた野宿生活者らの排除に関して、同公園内に居住していた野宿者及び同公園を活動場所としていた複数の団体を原告とし、渋谷区を被告とする国家賠償請求訴訟事件の原告代理人を務めていた弁護士です。上記事件については、2015年3月13日、東京地裁において、公園の全面封鎖が行われた当日、野宿者が渋谷区の職員らが有形力を行使して排除したことについて違法性を認め、公園のネーミングライツ契約などについても地方自治法上の違法性があるなどとする内容の原告勝訴判決があり、同年9月17日、東京高裁は被告渋谷区の控訴を棄却し、地裁判決が確定しています。

 

1月27日早朝、貴法人の職員らが、多くの警備員を引き連れて、明治公園の3ヶ所の出入り口の封鎖を強行し、貴法人から委託を受けたと思われる業者が、封鎖のための工事、さらに、霞岳広場にある公衆便所および園内の水道と電気を止める作業を行いました。

 明治公園内には数名の野宿生活者が暮らしています。貴法人は、これまでこれらの公園住人に「住んでいる人がいる間は工事をしない」「生活に影響のある工事について事前に説明をする」「話し合いで解決する」と約束してきたと聞いています。しかし、貴法人が委託した業者によって行われた工事は、野宿者の居住区と公衆便所を行き来する通路に、クレーン車で単管を組んだ鉄柵を吊り下げて、工事の強行に反対し話合いを求める住人らと応援有志の頭上をかすめるように設置しようとするなど、きわめて危険なものでした。また、ライフラインの切断は住人らの生死と直結する問題ですが、事前の説明はありませんでした。貴法人の約束は全く反故にされています。

 

 貴法人が、野宿生活者との話し合いを行わずに、その意思に反して強制退去を行うことは、きわめて重大な人権侵害です。明治公園に暮らす住人たちは、2013年の「東京オリンピック」決定以降、新国立競技場関連工事を理由に、東京都によって、二度の園内移転をしいられてきました。通路の封鎖、ライフラインの切断は、これら野宿生活者を実質的に強制排除するものであり、決して許されません。

 新国立競技場計画そのものがいったん白紙撤回され、着工時期が来年1月に変更になっています。また、同計画をめぐっては前案の盗用疑惑が発覚して、再度の計画変更もありうると報じられています。野宿生活者の居住している明治公園の取壊し工事を、新国立競技場建設に先行して行う必要は全くなく、話し合いを行う時間も十分にあるはずです。

 

 前述した宮下公園をめぐる判決内容にてらし、工事実施を理由にして野宿生活者を強制力により排除することは違法です。今後、貴法人あるいは貴法人が委託した業者が決してそのような行為を行わないよう、強く求めます。

 また、野宿生活者らから昨日申し入れのあった、①話し合いの再開、②話し合いによる解決がなされるまでの明治公園取り壊し工事の停止、③通行禁止、公衆便所の水道や電気の停止などの措置の即刻停止 ④27日に設置した工作物の即時撤去 について、貴法人が責任をもって検討し、受け入れるよう、要請します。

 

 なお、本件工事の強行、野宿生活者を実質的に排除したことについては、その法的根拠をめぐっても大きな疑義があります。法的根拠に関連する以下の諸点について、3日以内に書面で回答をいただけますようお願いします。

(1)貴法人は、野宿生活者が居住する明治公園内の土地について、いかなる法的権利を有しているのでしょうか。根拠もあわせてお示しください。

(2)1月27日に行われた出入り口の封鎖や公衆便所の水道や電気を止める措置は、東京都の指示によるものですか、それとも貴法人の判断で行われたものですか。東京都の指示によるものであれば、担当部署をお教えください。貴法人の判断で行われたものであれば、そのような措置を行うのは、貴法人の有するいかなる権限に基づくものなのかご説明ください。

(3)1月27日には、野宿生活者の友人や知人等の関係者の、出入り口からの排除が強制力を用いて行われましたが、これは貴法人の有するいかなる権限に基づくものですか。

(4)貴法人は、明治公園内の野宿生活者の存在を事前に認識していましたが、これらの野宿生活者に対して、今後、どのような対処を行っていくつもりなのか。東京都との間ではどのように連携をとっていくお考えですか。

(5)1月27日の工事は「明治公園橋等とりこわし工事」あるいは「下水道撤去工事」どちらに含まれるものでしょうか。あるいは、それとは別の工事に含まれるものなのでしょうか。

(6)貴法人が行うことを予定している、明治公園内の野宿生活者に影響を与えることが想定される工事、具体的には「明治公園橋等とりこわし工事」「下水道撤去工事」あるいはその関連工事について、委託業者名、契約締結日、工事期間、工事内容をそれぞれお示しください。2015年12月21日には、貴法人担当者は「委託業者を交えて改めて工事説明会を行う」旨説明していたようですが、工事説明会は、いつ行う予定ですか。

 

 ご対応、よろしくお願いいたします。

 

以上

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「日本におけるGoogleインパクトチャレンジ」のグランプリを受賞した事業「CRIMELESS」についての意見書

特定非営利活動法人Homedoorおよびグーグル株式会社に対し、「日本におけるGoogleインパクトチャレンジ」のグランプリを受賞した事業「CRIMELESS」についての意見書を送りました。
《PDFダウンロード》
http://www.evernote.com/…/…/2e05651ede71a7182c922d4432d82fe2
・・・
2015年3月30日

特定非営利活動法人Homedoor
理事長 川口 加奈 様

グーグル・アイルランド社(Google Ireland Ltd.)御中

グーグル株式会社
代表取締役 ロバートソン三保子 様

グーグル本社(Google Inc.)
CEO  ラリー・ペイジ 様

     東京都新宿区四谷3-2-2TRビル7階
     マザーシップ司法書士法人内
     ホームレス総合相談ネットワーク
     代 表 弁護士 森  川  文  人
     連絡先 115-0045東京都北区赤羽2-62-3
     事務局長代行 後閑一博
     電話03-3598-0444/FAX03-3598-0445
    
意 見 書
第1 要請の要旨
1.  米国グーグル本社(Google Inc.)、グーグル株式会社及びグーグル・アイルランド社(Google Ireland Ltd.)に対し、特定非営利活動法人Homedoorが提案しグーグル・アイルランド社が主催して「日本におけるGoogleインパクトチャレンジ」のグランプリを受賞させた事業「CRIMELESS」について、その事業化を推進させないことを強く求める。
2.  特定非営利活動法人Homedoorに対し、グーグル・アイルランド社が主催する「日本におけるGoogleインパクトチャレンジ」のグランプリを受賞した事業「CRIMELESS」について、その事業を実施しないことを強く求める。

第2 抗議及び要請の理由

ホームレス総合相談ネットワーク(以下「当ネットワーク」といいます。)は,ホームレスの方への法的支援を行う目的で2003年に結成された団体であり,路上でのホームレスの方への法律相談等を通してホームレスの方の自立への支援や人権の擁護に取り組んでおります。

グーグル・アイルランド社(Google Ireland Ltd. 以下、「グーグル・アイルランド社」といいます。)は、日本におけるGoogleインパクトチャレンジ(以下「インパクトチャレンジ」といいます。)と称して「日本の特定非営利活動法人、公益法人、社会福祉法人がテクノロジーを活用して世界を変えるプロジェクトを提案し、5000万円の支援金を獲得できるチャンスです。」という呼びかけを行いました。
米国グーグル本社(Google Inc.以下「グーグル本社」といいます。)とその日本法人であるグーグル株式会社(以下「グーグル日本法人」と言います。)は、インパクトチャレンジの6人の審査員の中に、グーグル本社のフィランソロピー部門を担う「Google.org」の執行役員であるジャクリーン・フラー氏と、グーグル日本法人執行役員 CMO、アジア太平洋地域 Google ブランドディレクターである岩村水樹氏が入っていることからも明らかなように、インパクトチャレンジに深くかかわり、これを実質的に運営し、推進する立場にある企業です。毎日新聞のサイトが「インターネットの検索大手グーグルが日本の非営利団体を対象にテクノロジーで社会をよくするアイデアを公募した『Google インパクトチャレンジ』の授賞式が26日、東京都内で開かれた。」と報道しているように、インパクトチャレンジの実質的な主催者はグーグル本社とグーグル日本法人であると社会的に認識されております。

特定非営利活動法人Homedoor(以下「貴法人」といいます。)は、インパクトチャレンジに応募し、2015年3月26日、グランプリを受賞しました。

貴法人が提案した内容は、インパクトチャレンジのホームページによれば、以下のとおりです。
「GPSによる治安維持とホームレス雇用の両立/位置情報システムを活用し、犯罪に関する統計、市民からの要請、目撃情報をマップ化します。その情報に基づき、防犯パトロールを行います。/また、統計やアプリで市民から寄せられるパトロール要請に基づき専用自転車で出動する仕事をホームレスの人のために創出します。/「ホームレスの雇用問題」と「夜間帯に女性への性犯罪が多発している問題」の同時解決に取り組みます。/5年以内に日本の犯罪率を10%減少させ、ホームレス4,000人(全体の約50%)に雇用創出を目指します。」
また、貴法人のホームページによれば、貴法人の提案(以下「CRIMELESS」といいます。)は以下のとおりです。
「Homedoorでは、缶集めと同等の労力で収入を向上できる仕事を考えました。「CRIMELESS」です。路上脱出の際、ただでさえ、色々な負担がおっちゃんたちにはかかるので、今までの仕事の延長でできる、馴染みの深い仕事であることがポイントです。/CRIMELESSでは、暗い夜道を歩くのが怖い人から寄せられる携帯アプリからのパトロール要請や、犯罪統計、GPSを駆使した防犯ルートを、特別な訓練を受けたホームレスの人が、缶集めの要領でパトロールします。/運営資金は、地元企業からの協賛金やパトロール要請の利用料でまかないます。CRIMELESSで働きながらお金を貯め、路上脱出を目指します。」

ホームレスの雇用問題を解決するとしていますが、貴法人が提案しグーグル・アイルランド社がグランプリを受賞させたCRIMELESSについては、以下の構造的な問題があります。
第一に、危険で困難な業務であることの配慮が欠けています。
CRIMELESSにおいて提案されているのは、ホームレスの方による公園、道路等の公の場所の警らです。これは、本来的には警察業務ですから、CRIMELESSはいわゆる私設警察として実施するものとなります。
警ら業務は、警視庁等の警察組織においても、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮」がなされている特殊勤務手当の対象となる業務です。
前記貴法人ホームページでは、「今までの仕事の延長でできる、馴染みの深い仕事」と記載されていますが、全くの誤解です。ホームレスの方に必ずしも適性があるわけではなく、ホームレスの方に雇用を限定する意味も全くありません。かかる事業は、相当の給与を支払って、偽装請負ではなく雇用することによって実施されなければなりません。しかし、「運営資金は、地元企業からの協賛金やパトロール要請の利用料でまかないます。」とされており、給与保証が期待される状況ではありません。
さらに、警らは警察組織の業務ですから警察組織との協力のもとで実施していくことになると思われます。それをホームレスの方に限定して実施すれば、実質的に警察組織の支配下にホームレス状態の人を置いて、警らという危険な業務をホームレス状態の人に押し付けることとなります。ホームレス状態であること自体を犯罪視する風潮(地方自治体で制定される缶集めを禁止する条例等)が強まっているなか、立場の弱い者を警察組織の手先として使役するいわゆるかつての「放免」(検非違使の下部として犯罪人の捜索等に当たった釈放された囚人)を想起させるものです。
第二に、「CRIMELESSで働きながらお金を貯め、路上脱出を目指します」となされていることから、CRIMELESSはホームレスの方をホームレス状態のまま、働かせようとしています。自助を前面にうちだすことは、当事者に自己責任であることを強調する活動といえます。本来利用可能である社会福祉制度について情報提供したり利用を支援したりせずにホームレス状態のままで働かせようとするその態度は反福祉といえます。
またCRIMELESSで雇用されるにあたって、住居の提供がないこと自体が雇用者の責任を果たしていないといえます。
第三に、CRIMELESSによって、CRIMELESSに参加しない多くのホームレスの方たちが危険にさらされることとなります。前記のとおり各地で缶集めが禁止されていくなどしてホームレス状態であること自体が犯罪視される風潮が強まるなか、CRIMELESSで警らするホームレスの方によって、その他のホームレスの方が公の場所から排除されていくことになりかねません。
また、ホームレスの方が警察組織の手先として警らしていると犯罪者に周知されれば、警らしていないホームレスの方はもちろん、警らしていないホームレスの方も犯罪者に接することで生命身体に危険が及ぶこととなります。
CRIMELESSによって、ホームレスの方はますます身の危険を感じ怯えながら生活していくこととなります。
以上3点は、CRIMELESSという事業の本質において問題となる点です。
CRIMELESSは、低賃金で路上生活を放置したままなされる、ホームレスの方を使役した警らであって、ホームレスの方の自立への支援や人権の擁護に反するものとなります。
CRIMELESSは社会問題を解決するものではなく、より大きな社会問題を生み出すものとなります。この事業の実施主体となる貴法人の将来における法的責任及び社会的責任だけではなく、この事業の実施のための資金となる賞金を提供して推進しようとすることによって、グーグル3社(グーグル・アイルランド社、グーグル本社、グーグル日本法人)の将来生じ得る法的責任及び社会的責任もきわめて大きいものだと当ネットワークは認識しております。

よって、当ネットワークは、CRIMELESSについて全く許容できませんので、それを表明し、CRIMELESSにかかる事業を実施しないことを強く求めます。

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渋谷区の行う炊き出し等に対する廃除についての当団体の見解

情報によると、渋谷区で共同炊事等の支援活動に対する廃除が行われているようだ。あってはならない暴挙だとしか言いようがない。
我々は、2012年6月11日同じく渋谷区が行った同時多発廃除に対して、2013年3月21日に日本弁護士連合会宛「人権救済申立」を行っている。
その内容の一部として「支援団体を廃除することにより、ホームレス状態の人々の『生きる手段』(これは、生活の手段ではなく、生命・身体を維持する手段である。)を奪うという構造である。行政の生活困窮者対策の不足を補って真摯に活動しているボランティアに牙をむけたという点で著しく相当性を欠く行為である。」と、炊き出し等の支援の廃除について厳しく指摘し、日弁連の調査結果、警告等の措置を待っているところである。
にも関わらず、昨年に引き続き本年も福祉事務所が閉鎖される年末を狙って行われる廃除であり、強い憤りを覚える。
なお、東京都福祉保健局も「公園管理部局と福祉事務所の連携が取れていないのであれば問題である。」と見解を示している(12月14日アップロード参照)。
リンクは、2012年6月11日に行われた同時多発廃除に対する人権救済申立であるが、主張する違法不当はなにもかわらない。一点、厳冬期かつ長期の役所閉庁中の廃除であり、悪性は極めて高いと糾弾せざるを得ない。



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さまざまな事情で住民登録がない者の選挙権を保障するよう求める意見

ホームレス法的支援者交流会(代表:木原万樹子・後閑一博)は、衆議院解散選挙が取りざたされる中、内閣府・法務大臣に対して、ホームレス状態、DV被害、長期入院などの事情により住民登録がない有権者が、その選挙権を行使しうるよう必要な措置を執ることを求める要望書を執行しました。PDFは⇒要望書


同団体は、これまで、①平成21年7月11日参議院選挙、②平成24年12月16日衆議院選挙、③平成25年7月21日参議院選挙、に併せて、これら住民登録がなく、事実上選挙権行使ができない方を対象とした調査を実施し、「ホームレス上にタイにある方、ネットカフェ難民、DV被害者などが、住民登録ができないがために、選挙権の行使を妨げられている現状は、憲法第44条に反する」と指摘続けています。

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精神科病院への長期入院処遇改善の要望書

 関連団体、医療扶助・人権ネットワーク(代表:山川幸生)は、栃木県の特定の精神科病院に入院する患者からの要請により、平成2412月から本日までに25人の退院に関与してきた経験から、主に東京都内の複数福祉事務所が、

(1)  本人の意思に反して、そもそも県外の病院であることを知らせず、

(2) 都内には多数の精神科病院があり、遠方の栃木県の精神科病院でなければ治療できない疾病ではないにもかかわらず、

(3)  任意入院でありながら閉鎖病棟での処遇が常態化しており、及び本人からの退院の希望があることを知りながら、

(4)  当ネットワークが関与した場合には、入院患者の多くが短期間の内に退院していることから、そもそも入院継続の必要性さえ疑われるなか、

(5)  入院患者に対する面会をしないなど、実態把握を怠り

(6)  必要以上に長期入院をさせていたのではないか

との懸念があり、その懸念は、憲法第25条、同13条の観点からも問題があり、生活保護法、同実施要領等に照らしても不当なのではないかと思料し、生活保護法第23条の監査及び指示を行うように厚生労働省及び当該病院への入院を処遇した生活保護の実施機関のある東京都・神奈川県・栃木県に対して要望書を提出しました。

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先日報道された宿泊施設での殺人事件について、意見書を執行しました。

先日報道された宿泊施設での殺人事件について、意見書を執行しました。
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2014年9月12日
厚生労働大臣 塩 崎 恭 久 殿
東京都知事  舛 添 要 一 殿
意 見 書 
 私たちホームレス総合相談ネットワークは、主として東京都内においてホームレス状態にある人々をはじめとする生活困窮者に対する法的支援活動を行っている団体である。
今般、小平市所在の宿泊施設内で施設利用者が同じ施設利用者を殺害したとして逮捕されるという事件報道を受け、次のとおり意見を表明をする。
当該宿泊施設は、あるNPO法人が、集合住宅を借り上げて低所得者約40名を入居させて運営していたもので、被害者は加害者を含む2名の男性と同じ居室で生活しており、本年5月から入居した加害者(59歳)と先に入居していた被害者(71歳)との間でトラブルがあったと報じられている。
 事件の詳細はまだ分からないが、全く無関係の男性どうしが同居を余儀なくされていたことから、この事件の背景に、2人が利用していた「宿泊施設」の問題が存在することは間違いない。この「宿泊施設」は、社会福祉法第2条第3項に定める第2種社会福祉事業として運営され、本年8月1日現在、東京都内に178カ所(定員数5532名)存在する「無料低額宿泊所」とみられる。
無料低額宿泊所の入所者のほとんどは生活保護受給者で、生活保護の受給が入所・利用の前提となっている。一般的に、無料低額宿泊所では、高額な施設利用料・配食などのサービス料が設定されている。当事者には、生活保護を受給する際に、このような施設を利用する以外の選択肢が示されないのが通常で、また、施設やサービスの利用から離脱することが事実上困難である。不明瞭な名目で保護費の大半を差し引き、施設利用者を劣悪な環境下に囲い込む悪質な業者もいる。このような業者の存在、あるいは業者を必要悪として許容する生活保護制度は、生活困窮者に対して、屋根の下で暮らすことと引替えに劣悪な居住環境を強制する結果となっている。
そもそも、生活保護法30条1項は,「生活扶助は,被保護者の居宅において行うものとする」と規定し、居宅保護の原則を宣明している。このような原則がとられているのは、人は、施設での集団生活ではなく在宅での生活を望むのが当然であるだけでなく、地域社会の中で自らの意思決定のもと人間らしい生活をおくることこそが「自立の助長」という生活保護法の目的(同法1条)を達成するためにふさわしいからである。
しかし、行政は、ホームレス状態にある要保護者の生活保護申請に対し,「住所や家がない者は保護できない」という違法な規制(俗に言う「水際作戦」)を行い、要保護者が単独で福祉事務所の窓口を訪れても追い返してきた。そして、施設型業者を使い勝手のよい受入先として利用し、運営に関する規制がゆるい施設の運営を容認してきた。また、不当な営業がなされていても、経営の制限や停止の措置が積極的にとられることはまれである。
 以前から、宿泊施設内では、利用者どうしのトラブルにより死傷事件が発生しており、2008年1月には、練馬区所在の宿泊施設で退寮処分を言い渡された施設利用者が寮長を刺殺するという事件が発生した。この事件の判決では、「いわゆる第2種宿泊所には、その設置及び運営の在り方に関して様々な批判がなされている」ということが、被告人のために酌むべき諸事情として掲げられた(東京地裁平成21年1月9日判決)。
 また、これまでに、千葉市議会、名古屋市議会、東京都議会、茨城県議会など多くの地方議会が意見書を発出して国に法規制を求め、2010年6月、日本弁護士連合会も「『無料低額宿泊所』問題に関する意見書」を発出している。
 にもかかわらず、またも、本件のような事件が繰り返され、一方ではかけがえのない命が失われ、他方加害者という立場になった人が出たことは、痛恨のきわみである。
 今後は、悪質業者に対する規制に加え、現にこのような業者のもとで暮らしている当事者に対して、転居支援を拡大し、実効性のある苦情相談窓口を設置し、また、それらのサービスにアクセスすることが可能なように情報提供を徹底すべきである。
以上

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さいたま市生活保護ホットラインについて(回答)

さいたま市生活保護ホットラインについての質問

に対する回答です。書面回答がなかったので電話で聞き取りました。引き続き書面回答を要請しています。

備忘録 生活保護ホットライン
日時 平成26年3月24日 11:36~11:50
相手 さいたま市保護課 栗山
内容
 質問書の質問事項に対する回答とすると、さいたま市個人情報保護条例に基づいているので、違法・不当はない。
 生活保護ホットライン実施主体は、さいたま市保護課であり、保護の実施機関は、さいたま市福祉事務所設置条例上、各福祉事務所であるが、さいたま市事務文書規則により保護課が事務の調整、企画・運営のとりまとめを行うことになっているので、情報を収集して福祉事務所に知らせることに問題はないと認識している。なお、福祉事務所から市保護課(ホットライン実施者)に対する生活保護法上の事務委任はない。
 被保護者でない情報を収集することも市個人情報保護条例上(5条)から問題ないと認識しているので、ホットラインで電話を受ければ、対象者が被保護者であるか否かを福祉事務所と共有して、被保護者でないことが発覚した場合には、文書保有条例に基づく、「調査にかかる情報」として3年間保有して廃棄することになっている。被保護者でない者の情報収集することになるが、はじまったばかりの制度であり、現状では、そのような形ではじめたとしか答えようがない。
 告発との関係については、「不正受給が飛躍的に増えている現状」から、市民の方から情報提供を受けている。虚偽告発との関係については、市民の方が被保護者かどうかは確信がもてないのが一般であるので、告発することを躊躇うことが多いと思われ、実施する意義はある。
 
 以上のやりとり後、説明が正しければ、生活保護法上、個人情報保護法上、違法不当の可能性がある。なので、まずは文書で回答すべきである。書面回答の有無・時期について連絡するように要請した。

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さいたま市生活保護ホットラインについての質問

平成2637

さいたま市長 清 水 勇 人 殿

ホームレス総合相談ネットワーク
                    代表(弁護士) 森 川 文 人

事務局長代行 後 閑 一 博

1150045 東京都北区赤羽2623

電 話 0335980444

FAX 0335980445

         生活保護ホットラインについての質問

  当会は、路上生活者、ネットカフェ難民等、社会的、経済的困窮のため安定した住居を有しない状態にある方々、生活保護受給者に対し、健康で文化的かつ人間の尊厳を保ちうるために相当程度の生活を送るための法的な支援を行うとともに、その人権を擁護し、違法な差別や偏見を除去することを目的として、弁護士・司法書士らが中心となって設立された団体です。

  さいたま市は、市のホームページに「生活保護ホットラインを設置しました」として、生活保護の適正化対策として、常設電話窓口を設置した旨を掲載しています。

しかし、その記載内容は、理解しづらい点が含まれ、法的な疑問もありますので、次に質問します。

 なお、ホームページは更新により書き換えられているようであるので、平成2635日現在の掲載されている内容についての質問となります。

  恐れ入りますが、法的問題も含まれていることから、書面にて、平成26320日までに、回答くださいますようお願いします。

 また、本質問及び回答は、ホームページ等適宜の方法で公開させていただきます。 

質問事項

(1) ホットラインの実施主体及び生活保護実施機関との関係について

さいたま市は、さいたま市福祉事務所設置条例に基づき福祉事務所を設置しています。したがいまして、さいたま市では社会福祉法に基づく10の福祉事務所(以下「福祉事務所」といいます。)が生活保護実施機関となっています。

ホームページにある「生活保護の適正化(1保護が必要な方に保護を適用し、保護が不要な方には保護を適用しない。2生活保護受給者の自立支援、3不正受給の防止、4貧困ビジネスへの対応など)」は、その文言の正否は別として、生活保護法の実施を指し、その権利義務は、福祉事務所にあるものと思われます。

一方で、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)では、行政機関は、利用目的、すなわち「法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定した(情報)」を超えて個人情報を保有することができないことになっています(第3条)。

上記より、福祉事務所は、生活保護実施のための個人情報を保有することはできる(ホームページに書かれた生活保護適正化のすべてが生活保護法の適正な事務遂行であるか別として)と思われますが、ホットラインの実施主体が福祉事務所でないならば個人情報保護法に違反する目的外情報の取得となるのではないかと思料しますが、その点を踏まえ、事務委任の根拠となる法令等を含めて回答ください。

(2) 寄せられる情報を保有する根拠について

 仮に(1)の質問について、ホットラインが法的に適切に実施されているとしても、寄せられる個人情報を保有する法的根拠がわかりません。ホームページによると(例えば)として、収入を得ているのに、区役所へ報告していないのでは?虚偽の世帯構成で生活保護を受給しているのでは?暴力団員なのに生活保護を受給しているのでは?など書かれ、また、「情報提供をもとに、保護課及び各区役所保護課が調査を行います」とあるので、被情報提供者の個人情報を入手することを前提としているように読めます。

すると、情報提供者は、被情報提供者が生活保護を利用しているか否かを知るよしもなく(仮に、被情報提供者が公言していたとしても、それが事実か確かめようもありません。)、憶測による情報提供ということになります。また、ホットライン実施者も被情報提供者が保護を利用しているかの有無にかかわる情報を情報提供者に知らせることができない(ホットライン実施者が、被保護者であることを知っている根拠も不明であるが)ことから、そのまま情報を聞き取ることになります。仮に、その情報が被保護者のものでないとすると、ホットライン実施者が、被保護者でない者の情報を入手し保有することになります。これは個人情報保護法に違反すると思料しますが、違法でないとするならば、その法的根拠を含め回答ください。 

(3) 生活保護制度への偏見への配慮について

本ホットラインの目的の一部に不正受給への対応があり、「悪質な事案については告訴等を含めた厳正な対応をします。」と書かれていることから、本ホットラインに対する情報提供も間接的な捜査の端緒に位置づけられると認識します。

現在、生活保護の捕捉率は20%程度といわれ、本来生活保護を受けられる方がさまざまな事情により最低生活以下の生活を強いられている現状にありますが、その背景には生活保護制度に対する世間の誤解に基づく偏見、スティグマがあり、生活に困窮している方々が申請をためらっているという現状があります。本ホットラインを行うことにより、市民に対して生活保護受給者を潜在的な「犯罪者予備軍」であるというメッセージを与えかねず、生活保護制度への偏見やスティグマがより一層、助長される危険があると思われます。

そもそも、生活保護の不正受給は、生活保護実施機関を欺いて保護費を支給させたのであれば、刑法第246条の詐欺罪を構成する犯罪です。犯罪については、被害を受けていない者、つまり誰でも刑事訴訟法第239条により告発することができます。福祉行政・生活保護に関連する部局が、刑事訴訟法第239条による告発という別の法的手段があるにもかかわらず、なぜ、あえて偏見やスティグマを助長する恐れのあるホットラインを開設するのか、合理的な理由について回答ください。

                        以   上


質問状PDF

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