渋谷区に対する勧告書
東京都渋谷区が2012年6月11日早朝に区役所人工地盤下駐車場(通称=ちかちゅう)や区立美竹公園など3か所を同時に封鎖して野宿者(ホームレス)の方々を締め出した事件について、野宿当事者らからの人権救済申立てを受け、第二東京弁護士会(二弁)は、渋谷区の行為を人権侵害に当たると認定し、渋谷区長に対し、公共施設からのホームレスの方々の排除や行政代執行の発動を戒め、話し合いによる解決を優先するよう求める勧告を行いました。勧告は3月1日付け。
二弁の「勧告の理由」によると、渋谷区が「工事」などと主張していた同時封鎖について、渋谷区がホームレスの方々が起居していたことを知りながら一斉に封鎖したことを指摘し、ホームレスの方々に対する強制立ち退きに当たると認定。憲法25条、国際人権A規約(社会権規約)11条1項やホームレス自立支援法11条の趣旨から導かれる事前の協議・交渉や代替措置を講じなかったとして、ホームレスの方々の排除を人権侵害に当たると断じました。二弁は、直接の権利主体ではない支援団体の活動制限についても、渋谷区に対し、事前に十分な協議を行うよう要望しました。
この人権救済申立ては、当事者の皆さんと支援団体「渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合 (略称=のじれん)」「聖公会野宿者支援活動・渋谷(ちかちゅう給食活動)」の依頼を受け、ちかちゅうの法律相談を担当しているホームレス総合相談ネットワークの法律家有志が代理人となって、2013年に弁護士会に申し立てたものです。二弁は実質4年の審理の過程で渋谷区からもその言い分を十分に聴いた上で、渋谷区の行為を人権侵害であると判断しました。渋谷区は、二弁の勧告を真摯に受け止め、ホームレスの方々やその支援団体を敵視している今の政策を改めなければなりません。長谷部区長は、ホームレスの方々やのじれん・聖公会と十分に話し合い、真の福祉の実現を図るべきです。
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