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さいたま市生活保護ホットラインについて(回答)

さいたま市生活保護ホットラインについての質問

に対する回答です。書面回答がなかったので電話で聞き取りました。引き続き書面回答を要請しています。

備忘録 生活保護ホットライン
日時 平成26年3月24日 11:36~11:50
相手 さいたま市保護課 栗山
内容
 質問書の質問事項に対する回答とすると、さいたま市個人情報保護条例に基づいているので、違法・不当はない。
 生活保護ホットライン実施主体は、さいたま市保護課であり、保護の実施機関は、さいたま市福祉事務所設置条例上、各福祉事務所であるが、さいたま市事務文書規則により保護課が事務の調整、企画・運営のとりまとめを行うことになっているので、情報を収集して福祉事務所に知らせることに問題はないと認識している。なお、福祉事務所から市保護課(ホットライン実施者)に対する生活保護法上の事務委任はない。
 被保護者でない情報を収集することも市個人情報保護条例上(5条)から問題ないと認識しているので、ホットラインで電話を受ければ、対象者が被保護者であるか否かを福祉事務所と共有して、被保護者でないことが発覚した場合には、文書保有条例に基づく、「調査にかかる情報」として3年間保有して廃棄することになっている。被保護者でない者の情報収集することになるが、はじまったばかりの制度であり、現状では、そのような形ではじめたとしか答えようがない。
 告発との関係については、「不正受給が飛躍的に増えている現状」から、市民の方から情報提供を受けている。虚偽告発との関係については、市民の方が被保護者かどうかは確信がもてないのが一般であるので、告発することを躊躇うことが多いと思われ、実施する意義はある。
 
 以上のやりとり後、説明が正しければ、生活保護法上、個人情報保護法上、違法不当の可能性がある。なので、まずは文書で回答すべきである。書面回答の有無・時期について連絡するように要請した。

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3.14 炊き出し会場にアウトリーチ

3月14日は、炊き出し会場に弁護士がおじゃまして、路上法律相談会でした。

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だいぶ暖かくなりましたが、夜はやっぱり冷え込みます。

独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業

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さいたま市生活保護ホットラインについての質問

平成2637

さいたま市長 清 水 勇 人 殿

ホームレス総合相談ネットワーク
                    代表(弁護士) 森 川 文 人

事務局長代行 後 閑 一 博

1150045 東京都北区赤羽2623

電 話 0335980444

FAX 0335980445

         生活保護ホットラインについての質問

  当会は、路上生活者、ネットカフェ難民等、社会的、経済的困窮のため安定した住居を有しない状態にある方々、生活保護受給者に対し、健康で文化的かつ人間の尊厳を保ちうるために相当程度の生活を送るための法的な支援を行うとともに、その人権を擁護し、違法な差別や偏見を除去することを目的として、弁護士・司法書士らが中心となって設立された団体です。

  さいたま市は、市のホームページに「生活保護ホットラインを設置しました」として、生活保護の適正化対策として、常設電話窓口を設置した旨を掲載しています。

しかし、その記載内容は、理解しづらい点が含まれ、法的な疑問もありますので、次に質問します。

 なお、ホームページは更新により書き換えられているようであるので、平成2635日現在の掲載されている内容についての質問となります。

  恐れ入りますが、法的問題も含まれていることから、書面にて、平成26320日までに、回答くださいますようお願いします。

 また、本質問及び回答は、ホームページ等適宜の方法で公開させていただきます。 

質問事項

(1) ホットラインの実施主体及び生活保護実施機関との関係について

さいたま市は、さいたま市福祉事務所設置条例に基づき福祉事務所を設置しています。したがいまして、さいたま市では社会福祉法に基づく10の福祉事務所(以下「福祉事務所」といいます。)が生活保護実施機関となっています。

ホームページにある「生活保護の適正化(1保護が必要な方に保護を適用し、保護が不要な方には保護を適用しない。2生活保護受給者の自立支援、3不正受給の防止、4貧困ビジネスへの対応など)」は、その文言の正否は別として、生活保護法の実施を指し、その権利義務は、福祉事務所にあるものと思われます。

一方で、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)では、行政機関は、利用目的、すなわち「法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定した(情報)」を超えて個人情報を保有することができないことになっています(第3条)。

上記より、福祉事務所は、生活保護実施のための個人情報を保有することはできる(ホームページに書かれた生活保護適正化のすべてが生活保護法の適正な事務遂行であるか別として)と思われますが、ホットラインの実施主体が福祉事務所でないならば個人情報保護法に違反する目的外情報の取得となるのではないかと思料しますが、その点を踏まえ、事務委任の根拠となる法令等を含めて回答ください。

(2) 寄せられる情報を保有する根拠について

 仮に(1)の質問について、ホットラインが法的に適切に実施されているとしても、寄せられる個人情報を保有する法的根拠がわかりません。ホームページによると(例えば)として、収入を得ているのに、区役所へ報告していないのでは?虚偽の世帯構成で生活保護を受給しているのでは?暴力団員なのに生活保護を受給しているのでは?など書かれ、また、「情報提供をもとに、保護課及び各区役所保護課が調査を行います」とあるので、被情報提供者の個人情報を入手することを前提としているように読めます。

すると、情報提供者は、被情報提供者が生活保護を利用しているか否かを知るよしもなく(仮に、被情報提供者が公言していたとしても、それが事実か確かめようもありません。)、憶測による情報提供ということになります。また、ホットライン実施者も被情報提供者が保護を利用しているかの有無にかかわる情報を情報提供者に知らせることができない(ホットライン実施者が、被保護者であることを知っている根拠も不明であるが)ことから、そのまま情報を聞き取ることになります。仮に、その情報が被保護者のものでないとすると、ホットライン実施者が、被保護者でない者の情報を入手し保有することになります。これは個人情報保護法に違反すると思料しますが、違法でないとするならば、その法的根拠を含め回答ください。 

(3) 生活保護制度への偏見への配慮について

本ホットラインの目的の一部に不正受給への対応があり、「悪質な事案については告訴等を含めた厳正な対応をします。」と書かれていることから、本ホットラインに対する情報提供も間接的な捜査の端緒に位置づけられると認識します。

現在、生活保護の捕捉率は20%程度といわれ、本来生活保護を受けられる方がさまざまな事情により最低生活以下の生活を強いられている現状にありますが、その背景には生活保護制度に対する世間の誤解に基づく偏見、スティグマがあり、生活に困窮している方々が申請をためらっているという現状があります。本ホットラインを行うことにより、市民に対して生活保護受給者を潜在的な「犯罪者予備軍」であるというメッセージを与えかねず、生活保護制度への偏見やスティグマがより一層、助長される危険があると思われます。

そもそも、生活保護の不正受給は、生活保護実施機関を欺いて保護費を支給させたのであれば、刑法第246条の詐欺罪を構成する犯罪です。犯罪については、被害を受けていない者、つまり誰でも刑事訴訟法第239条により告発することができます。福祉行政・生活保護に関連する部局が、刑事訴訟法第239条による告発という別の法的手段があるにもかかわらず、なぜ、あえて偏見やスティグマを助長する恐れのあるホットラインを開設するのか、合理的な理由について回答ください。

                        以   上


質問状PDF

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