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生活保護法改正案修正合意に対する意見

生活保護法改正案修正合意に対する意見

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2013(平成25)年6月3日

ホームレス総合相談ネットワーク
                        代表(弁護士) 森 川 文 人

事務局長代行 後 閑 一 博

1150045 東京都北区赤羽2623

電 話 0335980444

FAX 0335980445

 

私たちホームレス総合相談ネットワークは、2013年5月16日閣議決定された生活保護法改正案について、平成

25523日「生活保護法改正案に反対し廃案を求める意見書」(原意見書)により、ホームレス状態にある方に不可能を強いる法律案であり、とりわけ改正法案第24条は、憲法第251項に違反するものと断固たる反対の意見を表明した。

その後、民主党、自由民主党、公明党、みんなの党の合意により、要式行為であることを前提に、第241項及び2項に「ただし、当該申請書を作成することができない(当該書類を添付することができない)特別な事情があるときは、この限りでない。」と、改正法案の一部修正がなされたが、不明瞭な例外が設けられたに過ぎず、違憲性になんらの変わりがない。

当団体は、原意見書において、改正法案は、生活困窮者、とりわけホームレス状態の方に対し、①申請意思を抑圧・萎縮させる。②申請が権利であることを知らないほとんどの方に対する水際作戦の温床となる。③そもそも添付書類が準備できない方に対する申請権を侵害する。の懸念を示した。今回の修正合意は、僅かに③について些少な配慮がなされたものの実質において何も変わっていない。なぜなら、要式行為たる書面不備を理由とする却下決定に対して、事実上不服申立の機会が失われるからである。

生活保護法第7条が申請主義を採用しているかといえば、生活保護の権利性を明確にし、同時に、実施機関に必要な保護を開始する義務が生じさせることることにあるが、併せて、不服申立の機会が保障されること意義がある。にもかかわらず、改正案第24条が可決されれば、却下理由を単に「必要な書類を提出(添付)しないため。」だけとすることができてしまうのである。「単に根拠法令を示すだけでは足りず,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分をされたのかを処分の相手方においてその記載自体から了知し得るものでなければならず,単に抽象的に処分の根拠規定を示すだけでは十分でない。(最高裁昭和36年(オ)第84号)」とする最高裁の判断を潜脱する手段として利用される懸念が払拭できない。

修正合意でいうところの「特別な事情」について、厚生労働省の通知等により、明確化することは不可能ではないが、法律に書面主義が明記されている以上、法律に従った申請書の記載事項の欠缺や添付書類の添付がないことを理由に申請が却下された場合には、不服申立てをすることができない。運用(技術的な助言や処理基準)によって法律を変えることはできないからである。

以上のとおり、当団体が主に指摘した改正法案24条についてだけでも、修正合意により、僅かに、是正があると言えるものの本質において変わりなく、扶養義務の強化、後発医薬品の事実上の使用義務づけ等の争点について何らの改善もされていない現状において、改正法案は、憲法第25条の理念が欠如する法案であり、廃案を求めざるを得ない。

今回の改正案は修正合意後のものであっても、憲法25条1項が保障する生存権を奪う違憲な法案立法であると言わざるを得ず、法律家として断じて認めるわけにはいかない。
 改正案が、速やかに廃案とされることを求める。
                                      以上

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