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【ニュース】千代田区での野宿者襲撃事件に関して申し入れを行いました。

千代田区の公園で寝泊まりしていた男性が、中学生に熱湯をかけられ大やけどを負わされた事件が9月に発生しました。

 

この事件に対して、NPOもやいなど6団体が中心となって11月1日に千代田区に対して申し入れを行い、事件の背景や再発予防について話し合いを持ちました。

 

ホームレス総合相談ネットワークも千代田区への申し入れの賛同団体となり、今後同じ様な事件が起こらない様に様々な活動をしていきたいと思っています。

 

詳しくはNPO法人自立生活サポートセンター・もやいのホームページ

http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=867をご参照ください。

 

<以下、申し入れ文>

*************
千代田区教育委員会 御中
千代田区政策経営部国際平和・男女平等人権課 御中

 

 

 今年918日に千代田区内で発生した区立中学生による野宿者襲撃事件について、話しあいを持ちたく、申し入れさせていただきます。

 

 新聞報道によれば、千代田区西神田にある区立西神田公園のベンチで寝ていた67歳の男性に、ジュースの紙パック(500ミリリットル入り)に 入れた熱湯をかけ、首や肩などに約1カ月のやけどを負わせたとして、傷害の疑いで区立中学3年の男子生徒が逮捕されました。男子生徒は事件の1週間ぐらい 前から男性に石を投げたり、洗剤をかける等の行為をしていたといいます。


 事件の詳細については明らかになっておりませんが、私たちは事件の背景に野宿者への差別や偏見があったと考えています。また、被害を受けた男性が耳が不自由であったと報道されていることから障がい者に対する差別や偏見という側面もあったのではないかと考えています。

 

 わたしたちは、20年以上にわたって野宿者への襲撃事件を数え切れないほど体験し、見聞きしてきました。そして、少年たちと野宿者の出会い が、「襲撃」という「最悪」の出会いとなってしまうような現状を、希望ある「人と人としての出会い」へと転換していくためには、学校でのホームレス問題に 関する授業が不可欠であると考え、その促進のための活動をおこなってきました。

 

 このような襲撃事件をくり返さず、児童生徒を加害者にせず、被害者を生み出さないためには、一般論として「命を守りましょう」と言うだけでなく、現実に即した具体的な「野宿(ホームレス)問題の授業」「障がいの理解」が必要です。

 

 そのためには、教員自身のこの問題への具体的な認識が必要です。その認識の形成のためには、まず学校や教育行政が、野宿当事者、障がい当事者、支援団体、福祉行政の担当部署などと協力し、教員の理解・認識を深めていくための働きかけが必要だと考えます。


 また、学校での取りくみだけでなく、保護者・地域がホームレス問題への理解を深めて偏見を除去していくことも重要です。


 子どもたちの野宿者襲撃は、「路上のいじめ・虐待」に他なりません。これ以上、子どもたちが「野宿者襲撃・弱者いじめ」の加害者とならず、野宿者から被害者をうまないため、わたしたちは、貴教育委員会に以下のことを要請します。

 

 

 

1、 今回の襲撃事件を生命にかかわる重大な事件として受け止め、事件の背景と現状の対応を究明した上で事件に関する区の認識を明らかにすること。

 

 【事件の背景で明らかにしていただきたい事項】


加害者少年が暴力を振るうにいたった詳しい経緯
  (学校等の社会環境、家庭環境で加害者少年もDV等の被害にあっていた経緯はないか等


被害者男性の障がいの詳しい状況
 a デシベル等、聴覚障がいについて
 b コミュニケーションの具体的な手段について(手話、筆記等が可能かどうか等)


障がい者施策へのアクセス状況
 a 障害者手帳の申請状況
  b コミュニケーション支援のアクセス状況

   (過去の状況、現在施設等に入所されている場合はそこでの対応も含む)
 c 障害者年金の受給状況

   (国籍等で申請が難しい等の問題があるかどうかも含む)

被害者男性の弁護人等の権利擁護体制の現状

 

 

2、 野宿者・障がい者への差別・偏見をなくし、いじめ問題を克服・解消することを、区の重要な教育課題として捉えること。

 

 

3、その解決のための具体的なアクションを起こすこと。


(1)区としての態度を表明し、区民に対する啓発活動をおこなうこと。


(2)解決のための、単発ではない複数年度にまたがる取りくみを学校現場でおこなうこと。

 例: 区としての実践奨励(校長会・生活指導主任会・区の教育研究団体の「総合的な学習の時間」部会・道徳部会などへの働きかけ、教育研究所による独自の情報提供等)支援団体からの情報提供の仲介、自主参加による研修、PTA連合会などの諸団体への働きかけなど

 

 

 わたしたちは、「野宿(ホームレス)問題の授業」を全国各地の学校でおこなってきました。

 その中で「ホームレスという人がいるわけではない。普通の人が社会から排除されてホームレス状態になるに過ぎない」と知った児童生徒たちが、「無視」や「軽蔑」から、「理解」と「共感」へとその態度を変えていくのを目の当たりにしてきました。

 とくに、野宿当事者を教室に招き、直接当事者と生徒たちが出会う授業・体験学習は、生徒たちのより大きな関心と共感をもたらし、効果をあげています。

 わたしたちは、こうした実践がすべての学校でおこなわれ、二度とこのような襲撃事件が起こらない社会になることを切に望んでいます。

 

 そのために、わたしたちにできることがあれば、ぜひ協力したいと願っています。

 これまで、わたしたちが取りくんできた授業の実践、情報提供、教材の紹介はもちろん、講師(野宿当事者を含む)派遣、子どもたちのボランティア体験受け入れなど、具体的に、さまざまな協力・支援を提供できると思います。

 

 

 学校での「ホームレス問題の授業」「障がいの理解」の意味ある実践に向けて、ぜひとも、わたしたちと話しあいの場を持っていただけますよう、お願いいたします。

 

 

2010年11月1日

 

 

ホームレス問題の授業づくり全国ネット(共同代表:生田武志、北村年子)
患者の生活・就労をつむぐ会(代表:山本創)
在日無年金問題関東ネットワーク(代表:田中宏)
無年金在日外国人デフの会(会長:松田昇)
DPI(障害者インターナショナル)日本会議
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい(代表理事:
稲葉剛)

 

賛同団体:14団体
賛同個人:129人

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