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野宿者の生存を脅かし、社会的排除を助長する条例改正に反対する共同声明

京都市によって京都市会9月定例会に提出された、家庭から出
された「缶・びん・ペットボトル」及び「大型ごみ」の持去りを禁止する条例改
正案について、共同声明を出しました。

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野宿者の生存を脅かし、社会的排除を助長する条例改正に反対する共同声明

 わたしたちは、京都市によって京都市会9月定例会に提出された、家庭から出
された「缶・びん・ペットボトル」及び「大型ごみ」の持去りを禁止する条例改
正案(以下、本件改正案とする)を、野宿者の生存権を侵害し、野宿者に対する
社会的排除を助長するものであると考え、本件改正案に強く反対します。 

さまざまな事情から住居を失い、いったん野宿の状況に追い込まれると、その状
況から脱出するのは容易ではありません。野宿者の相当数は、高齢であったり、
けがや病気、障がいなどをかかえていたりして、現状の雇用システムからは排除
されています。野宿者であるというだけで雇用に極めて消極的な態度をとる企業
も少なくありません。また、生活保護は、野宿者に対する運用において、集団生
活となる施設への入所が原則化されるなど、野宿者にとって利用しにくいものと
なっています。野宿者は安定した収入も住居も奪われ、極度の貧困状態を強いら
れています。彼ら彼女らの多くにとって、アルミ缶等の廃品を収集して換金する
ことは、命をつなぐための残された貴重な手段の一つとなっているのです。

このような現状において、適切な労働政策や福祉政策の実施もないままに、本件
改正案によってアルミ缶等の収集が禁止されてしまうと、野宿者の多くが生活の
糧を奪われ、その生命が危険にさらされることになります。条例改正は、「健康
で文化的な最低限度の生活」以下の生活を強いられている野宿者を更に困窮させ
るものであり、重大な人権侵害であるといえます。

また、本件改正案は、野宿者に対する社会的排除を助長するおそれがあります。
野宿者は差別と偏見にさらされ、社会的排除の対象になってきました。野宿者に
対する誤解のもとに、野宿者支援のための宿泊施設の建設に対して地域住民によ
る反対運動がおこる事例も散見されます。中高生などによる野宿者への嫌がらせ、
殺傷行為も後を絶ちません。本件改正案は、生きるためにアルミ缶等を収集する
野宿者に「わるもの」というレッテルを貼るものであり、野宿者に対する社会的
排除の風潮を助長しかねません。

日本社会で大きな社会問題となっている貧困問題は、社会の無理解と無関心のも
とで広がり深刻になっていきました。ようやく最近になって貧困問題への社会的
取り組みが政策的課題とされつつあります。貧困問題を克服するためには、貧困
を可視化し、これまでの差別や偏見を乗り越える必要があります。ところが、本
件改正案は、明らかにこれに逆行するものです。京都市の態度に、わたしたちは
大きな不安を感じざるをえません。
わたしたちは、野宿者に対する重大な人権侵害であり、排除的政策である本件改
正案に対し、怒りをもって、反対を表明します。
            
2010年9月15日

反貧困ネットワーク京都
関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち
京都自治体関連労働者自立組合ユニオン「らくだ」
きょうと夜まわりの会
健康よろずプラザ
生活保護問題対策全国会議
全京都生活と健康を守る会連合会
反貧困ネットワーク
反貧困ネットワーク川神奈
反貧困ネットワーク埼玉
ホームレス総合相談ネットワーク
ホームレス法的支援者交流会
ホームレス支援機構・京都寄り添いネット
京都自立支援バックアップセンター
近畿生活保護支援法律家ネットワーク
NPO法人あったかポート

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