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「ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~」の集約結果

ホームレス法的支援者交流会は、全国の支援団体や法律家などと協力し、
ホームレス生活者等住民登録ができないがために選挙権の行使ができない方々を対象に,
ホームレス生活者等である立場から,政治に対してどのような施策を要望するか等の
事項について聞き取り調査を行いました。
(ホームレス総合相談ネットワークは、東京での調査に協力しました)

これは、こうした方々の国民の基本的な権利である選挙権の行使を保証する必要があることを
明らかにするための取り組みです。

結果をどうぞご覧ください(PDFファイルでもご覧いただけます)

↓PDFファイルはこちら
「100714.pdf」をダウンロード

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(プレスリリース)

ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~ 調査結果

ホームレス法的支援者交流会は,ホームレス状態にある方々が健康で文化的かつ人間の尊厳を保ちうるために相当程度の生活を送るための法的な支援を行うとともに,ホームレスの人権を擁護し,ホームレスに対する違法な差別や偏見を除去することを目的として,2008年(平成20年)1月14日に設立された団体です。
さて,現在のわが国の公職選挙法においては,住民登録をしなければ選挙権がないのと同様の状況におかれる一方,ホームレス状態の方が生活している公園に住民登録をすることができるか否かについて争われた裁判で,最高裁はこれを否定する判決を下しました。(最高裁第二小法廷平成20年10月3日判決)

また,2007年,大阪市は,選挙を目前にして,住居がないがために支援団体施設等に住民登録していたホームレス生活者や日雇労働者について,住民登録を抹消するという事態も発生しています。在外邦人の選挙権が最高裁判決によって明確になった一方で,単に家がないという理由から,住民登録をすることができず,結果,選挙権の行使ができない状況は,ホームレス生活者の方々の権利をないがしろにした違憲状態であるといわざるを得ません。

そこで,当会は,先日行われた参議院選挙にあわせて,「ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~」を企画し,全国の法律家団体・支援団体に参加を呼びかけ,多くの団体の参加をいただき,2010年6月28日から選挙当日の7月11日まで調査を行い,この度,これを集約いたしましたので,当会の意見を付して,ご報告いたします。

当調査は,ホームレス生活者等住民登録ができないがために選挙権の行使ができない方々を対象に,ホームレス生活者等である立場から,政治に対してどのような施策を要望するか等の事項について聞き取り調査を行い,こうした方々の国民の基本的な権利である選挙権の行使を保証する必要があることを明らかにするための取り組みです。
報道関係者各位におかれては,ご多忙中のこととは存じますが,この取り組みを,報道において取り上げていただき,ホームレス状態にある方々が選挙権が行使できないという重要な問題を国民のみなさまに知らしめていただくとともに,当該問題の解決に向けた政策的取り組みの必要性を明らかにしていただきたいと存じます。
よろしくお願い申し上げます。

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ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~ 調査結果

1. 調査数は772名でした。
調査対象者のうち,選挙権がありながら,選挙権を行使できない状況にある方等の数は次のとおりでした。

うち 選挙権を行使できない状況にある方 481
うち,選挙権を行使できる状況にある方 282
不明・未成年・外国籍 9
合計 772

2. 調査実施箇所と調査数は,次のとおりでした。
(9都道府県)

東京都内23区内 380
東京都三多摩地区 40
神奈川県横浜市 121
名古屋市 42
京都市 22
広島市 5
松山市 3
北九州市 76
福岡市 48
鹿児島市 9
那覇市 26
合計 772

3. 参加団体は次のとおりでした。
(9都道府県12団体)
※広島・愛媛は1団体としてカウント

東京都 ホームレス総合相談ネットワーク
東京都 NPO法人自立生活サポートセンターもやい
東京都 夜まわり三鷹
東京都 府中地域で共に生きる仲間の会
東京都 府中緊急派遣村
神奈川県 神奈川県司法書士会
愛知県 笹島連絡会
京都府 京都・反貧困ボランティア
広島県 ホームレス支援を考える会オープンハンドまつやま広島支部
愛媛県 ホームレス支援を考える会オープンハンドまつやま
福岡県 福岡県青年司法書士協議会
鹿児島県 NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会
沖縄県 司法書士・支援団体有志

4. 選挙権を行使できない状況にある方481名の年齢は次のとおりでした。

20代 6    1.2%
30代 26    5.4%
40代 68    14.1%
50代 167 34.7%
60代 156 32.4%
70代 47 9.8%
80代 2 0.4%
不明・回答なし 9 1.9%
合計 481

5. 選挙権を行使できない状況にある方481名の性別は次のとおりでした。

男性 469 97.5%
女性 9 1.9%
不明・回答なし・その他 3 0.6%
合計 481


6. 選挙権を行使できない状況にある方481名の住民登録の状況は次のとおりでした。

住民票がない 167 34.7%
住民票があるかどうか分からない 168 34.9%
住民票はあるが遠方である等 107 22.2%
その他・不明 39 8.1%
合計 481

7. 選挙権を行使できない状況にある方481名の現在の状況は次のとおりでした。

~ホームレス状態~
野宿 355 73.8%
ドヤ(簡宿) 36 7.5%
ネットカフェ・サウナ 18 3.7%
自立支援センター 3 0.6%
シェルター 6 1.2%
知人宅 5 1.0%
その他 14 2.9%
~ホームレス状態ではない~   0.0%
居宅有り 22 4.6%
その他 17 3.5%
不明 5 1.0%
合計 481

8. 住民登録がない,分からないと回答された方(合計335名)の,住民登録がない,分からない状況となった理由は次のとおりでした。

家賃滞納 23 6.9%
失業 103 30.7%
派遣切り 16 4.8%
多重債務 21 6.3%
DV被害 0 0.0%
その他 138 41.2%
不明 34 10.1%
合計 335

9. 住民登録がない,分からないと回答された方(合計335名)の,住民登録がない,分からない状況となってからの期間は次のとおりでした。

1年未満 51 15.2%
1年以上3年未満 55 16.4%
3年以上5年未満 42 12.5%
5年以上10年未満 64 19.1%
10年以 上 102 30.4%
不明 21 6.3%
合計 335

10. 選挙権を行使できない状況にある方481名に,
「以前,選挙権が行使できる状態だったときには,選挙に行ったことがありますか?」
との質問を行ったところ,回答は次のとおりでした。

ある 367 76.3%
ない 101 21.0%
未回答 13 2.7%
合計 481

11. 選挙権を行使できない状況にある方481名に,
「あなたには選挙権があります。本当であれば,選挙に行きたいですか?」
との質問を行ったところ,回答は次のとおりでした。

行きたい 268 55.7%
行きたくない 194 40.3%
未回答 19 4.0%
合計 481

12. 選挙権を行使できない状況にある方481名に,
「今回の参議院選挙において,期待する政党がありますか?」
との質問を行ったところ,回答は次のとおりでした。

ある 141 29.3%
ない 315 65.5%
未回答 25 5.2%
合計 481

13. 選挙権を行使できない状況にある方に,
「政治に対する要望はありますか?」
との質問を行ったところ,主に,次のような回答がありました。
(自由回答,複数回答可,無回答可)

仕事・雇用・景気に関する要望 127
福祉に関する要望 102
税金に関する要望 30
政治に期待しない旨の回答 74

① 仕事・雇用・景気に関する要望

● 昔は簡単に就職できたのに,今は短期アルバイトしかできず長く安定した仕事に就けないのでなんとかしてほしい。
● ずっとまじめに働いてきたのに54歳でリストラされてからこんな生活になった。日本は働く人を切り捨てる国だ。
● 仕事の場所がほしい,住む場所がほしい,50歳まで印刷で働いていたが,コンピューターの導入により仕事がなくなった。
● 若者が働く場所を確保してほしい。その事を社会全体で考えるべきである。夢も希望もない社会にしてほしくない。
● これ以上生活を悪くしないで。建設業で働いてきたが,仕事がない。あってもピンハネなどの問題がある。何とかしてほしい。
 仕事がなくて,ハローワークに何度も行った。生活保護を受けながら働いたが,有期雇用で,すぐ切られてしまう。手をケガしているが,それを言うと断られてしまう。障害者にもっと働きやすくしてほしい。
● ハローワークに行っても仕事がぜんぜんみつからない。雇用をつくってほしい。

② 福祉に関する要望

● 社会福祉制度についての情報を分かりやすく出してほしい。
● 生活保護を受けたい。高血圧で仕事ができない。
● もう高齢で仕事ができず,困っている。生活保護を一方的に切るとかはやめてほしい。山谷はドヤが混んでいて借りられない。施設の食費が高い。
● 福祉の充実,仕事の紹介,住民票がないから働けない,自立支援,保護費が不足している。
●  生活保護の充実,住所がないというデメリットの解消。
● 弱者に優しくしてほしい。就職できない若い人がいることを考えてほしい。派遣を拡大したけど,日本は地盤沈下している。今の人は,派遣で失業したら高い家賃を払えずに,すぐにホームレスになる。国が安い物件を造ればいい。学費も安く。
● 子ども手当払っている場合じゃない。ホームレス手当をよこせ。こっちは40年間税金を払ってるんだ。
● 体を壊したときの福祉をしっかりしてほしい。
● 身分証明がないと何もできない社会はおかしい。ホームレスが増えた一因では?
● 生活保護になって3ヶ月経つが,まだカプセルで待機している。住居対策を。
● 福祉を充実させてほしい。もういちど家族と暮らしたい。
● 憲法で保障されている最低生活を保障してほしい。

③ 税に関する要望

● 消費税を上げないでほしい。
● 失業手当をちゃんとしてほしい。そのために消費税を取っているのでは? 15%ぐらいに上げて福祉に回してほしい。
● 消費税値上げは困る。住民票がないと低所得者への還付さえ受けられない。
● 税金を上げるな。福祉,老人を大切に。
● なにもない。俺たちが言っても直るわけがない。消費税を20%にしてでも仕事をくれ。

④ 政治に期待しない旨の回答

● 要望はない。住民票があるときは選挙の手伝いもしていた。政治が遠い存在なので,なにを期待していいか分からない。
● もう政治にはなにも期待をしない。
● どこも一緒だもん。今は何も望まない。死ぬのを待つだけ。仕事がほしいと言ってもかなわない。
● 政治に失望している。
● 下が言ったってしょうがない。決められたことをやらなくちゃしょうがない。
● 何もしてくれないから,何も望まない。
●  誰がやっても同じ。
● 選挙に参加したい気持ちはあるが,応援したい政党や候補はない。
● 昔は投票に行ったが,今は期待の持てる候補がいない。
● 政治のことを考える余裕がない。今生活するので精一杯
● あきらめている。何を言っても同じ。

14. 全員に対して
「住民票がない方は,選挙権を行使できないことをご存知でしたか?」
との質問を行ったところ,回答は次のとおりでした。

知っていた 620 80.3%
知らなかった 101 13.1%
未回答等 51 6.6%
合計 772

15. 全員に対して,住民票がない方が選挙権を行使できないことについての意見を求めたところ,主に,次のような回答がありました。
(自由回答,複数回答可,無回答可)

改善すべきだ,選挙に行きたいといった意見 174
仕方ない,諦めている,などの意見 129
当然との意見 27

① 改善すべきだ,選挙に行きたいといった意見

● 家がないから参加できないのはおかしい。
● 訴えたいほど,憤りを感じる。
● おかしいと思う。以前住所がなかったとき,応援したい方が立候補したが投票できず悔しかった。
● おかしいと思う。住所がなくても同じ人間。すべての人が行使することができるようにすべきだ。
● 驚く。与えるべき。
● 同じ人間として選挙権がないのはおかしいと思う。
● 外国に住んでいる人は投票できるのに,おかしい。
● こういう状態になったからこそ選挙にいきたいのにいかれないのはひどいと思う,発言権がない,
● こういうときこそ政治家に言いたいことがいっぱいある。
● 国民なら,どんな立場・境遇でも投票できるようにしてほしい。
● 差別だと感じる。好きでホームレスをしているわけではない。
● 事情を考えて,選挙できないことについて救済してほしい。
● 住所がなくても,戸籍はある。国民なんだから,平等に選挙権を与えてほしい。
● 住所が持てない人たちが住民票を置くような場所を行政が用意すべき。
● 住民票がないと選挙権がないのはおかしい。建設業の寮にいたとき,住民票を移動しなかったので,選挙の紙は来なかったが,税の取立は来た。
● 住民票がほしいと行政にいってきたがぜんぜんダメ。年金ももらえない。私がここにいることを把握しているのに,住民票がとれない。
● 人種差別に等しい。憲法に反している。国民の当然の権利であり,だれでも行使できるような法律をつくるべき。
● 好きで野宿状態になったわけではない。衣食住を備え,選挙権を行使できるのが当然。
● 住まいがなくても,選挙には行きたい。
● 選挙権を行使できないと,何も言えない。「住所がないから」という理由で,何もない。あればもう少し上を向いて歩けるのに。
● 選挙に行きたい人は行けるようなシステムがあるといい。選挙は生活。自分の生活を決める大切なこと。金より大事。
● 選挙に行ったことがなく,期待している政党もないが,今は「投票したい」と思っている。
● 定額給付金をいちばん必要としている人が,住民票がないために選挙権・お金をもらえない。本籍があるのだから,ありえない。
● とても選挙に行きたい。投票できないのはおかしい。
● どんな人でも一票は一票。行使させて。
● 日本国籍があるのだから,その確認をすれば投票できるようにするべきだ。選挙は権利であり,義務だ。
● 不公平だと思う。同じ権利があるはず。
● 本人と証明できるものを持ちどこかに申告すればどこかに投票できるようにしてください。
● 貧しい人たちこそ一票が大切。
● 自分は税金を納めてもいないし仕方がないと思う。でも,今の政治を見ていておかしいと思うことは多いし,できたら,行使したい。
● 成人である以上全員参加させるべきだ。
● 本人が住所を設定しやすくすればよい。
● 河原であろうと公園であろうと選挙権は与えられるべきだ。
● ホームレスにも選挙権を行使できるようにしてほしい。そしたら日本がちょっとはよくなるはず。ホームレスの人は考えているから。


② 仕方がない,諦めている,等の意見

● 私は17~18歳で家を出た。だから,諦めている部分はある。今はお金がなくて,もうそれどころではない。
● 路上にいるときは仕方ないと思っていた。今は投票に行けるのが楽しみ。
● 税金を払っていないのだから仕方ない。国だって我々を相手にしてくれないし,国は頼りがいがない。支援団体のほうがよっぽど助けてくれる。
● しょうがないと思う。税金を納めていないから,諦めている。
● しょうがない。自分のせい。
● 住民票がないことで存在すら認めてもらえないことになっている。
● 住所がはっきりしないのだから仕方ない。はっきりできる方法を考えてほしい。
● 自分が悪い。仕方ない。
● さびしいような感じがするけれど,仕方ない。
● 本人の責任だからしょうがない。

③ 当然との意見

● 当たり前。自分が悪い。
● 住民票がないとダメだと思う。身元が確かな人間がすべきだ。
● 自業自得。生活第一。そんなこと気にしていられない。
● 納税していないからあたり前。変わるならなんとかしてほしい。
● 当たり前,野宿なのに選挙に行きたいなんて非国民

④ その他の意見

● 意見なし。今日の生活で精いっぱいなのに投票どころじゃない。我々のような底辺の者は,今日の命,明日の命を何とかするのに必死なのだ。
● ホームレスは世間を捨てたので不要なのでは。
● 今のところはしょうがない。身分証明ができないし,不正も起こるかも知れない。
● 住民票がなければ,二重三重の投票ができてしまう。
● 住むところがあれば解消できる問題。野宿せずに住めるところをつくってほしい。
● 今はこのことについて考えられない。
● 人の特定ができないので何とも言えない。不正があると困る。
● 不法就労などの問題にもかかわるが,大阪で会館に住民登録したことが問題になったが保険すら排除されてしまう。
● 人として認められていない気がしてかなしい・・・。
● 私は死ぬまで,住民票をタンスに入れておく。一生ホームレスではいたくない。路上で死にたくない。路上で死ぬとトラックで運ばれる。



(附記事項)

野宿者のための静岡パトロールが実施した調査結果

「ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~」の趣旨に賛同いただき,これと連動して,2010年7月9日,静岡市内において,野宿者のための静岡パトロールが,住居喪失者選挙権調査を行われました。
(野宿生活者総数28名中,12名から回答)

1.これまで投票したことがある 10名
  ない    2名

2.住居がないと投票させないのはおかしいと思う  5名
  思わない  2名

3.投票したい  5名
  したくない  5名

4.国会(議員)にさせたいこと,要望

● 国会議員は敵。味方の感じがしない。派閥の利益だけを追求しているから。せめて
● 小屋を建てて住めるようにして欲しい。自分たちは発言しても聴いてくれない。発言
● できる雰囲気もない。気軽に国に意見をだせる目安箱のようなものがあったらよい。
● アパートに入れろ。市営住宅に入れろ。
● とにかく生活を良くして。
● 今の生活で精一杯で考えられない。目的も希望もない状態。取れるところからしっかり税金を取って…底辺を底上げして欲しい。金持ちだけでは生きていけないはずだ。
● 人夫や3Kの人間がいないと金持ちだけではやっていけない。世の中成り立たない。ゴミの収集車がなければ,小奇麗にしている人もこまるはずだ。
● 言っても仕方ない。
● 何もしていないから,言うことは何にもない。なるようになる。
● 寝るところ。住まいが欲しい。

DV被害者支援団体による参院選調査

また,各地のDV被害者支援団体が,ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~にあわせて,同様の調査を行われました。
 118名のDV被害者の方々から調査を行い,その結果は次のとおりでした。

1.調査数 118名
日本国籍   115名
外国籍   3名

2.年齢
20代  33名
30代  36名
40代   40名
50代    7名
60代    2名

3.性別
 女性 118名

4.現在の状況
シェルター・ステップハウス等   14名
  居宅 104名
  
  ※「居宅」は,実家・アパート居住・夫が出て行ったため元いた居住地に住んで           いる等

5.今いるところに住民票がある  25名
  ない  93名
         
6.今いるところに住民票がない状況になってからの期間
1年未満   56名
1~3年未満   16名
3~5年未満     10名
5~10年未満    5名
10年以上    6名

7.住民票がない理由
  DV被害 115人

8.選挙権を行使できる   4名
  できない 111名

※ただし,111名の中には,「あえて行使しない」とされる方も含みます。   しかし,5の回答のとおり,93名の方がいまいるところに住民票がないのですから,多くの方が,選挙権を行使できない状況にあるものと思われます。

9.住民票がないと選挙に行けないことを知っていた 113名
  知らなかった   5名

10.意見

●政治のことを考える余裕がない
○今は考えられない
●はっきり分からない
○興味がない
●余裕がない
○DVの場合住民票が移せないが選挙に行きたい
●選挙権は行使できるが,夫の追跡が怖くて投票に行けないので何とかしてほしい
○今大変なときなので,政治や選挙のことは考えられな

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ホームレス生活者世論調査~忘れるな!この1票~ の結果を受けて

ホームレス法的支援者交流会
代表 後閑 一博
   木原 万樹子

●本調査で判明した事実1
ホームレス状態にある方々の多くが選挙権の行使を望んでいること

選挙権を行使できない状況にある方481名に,「あなたには選挙権があります。本当であれば,選挙に行きたいですか?」との質問を行ったところ「行きたい」と答えた方が,268名(55.7%)にのぼりました。
これは,今回の参議院選挙の投票率全国平均の57・92%とほとんど変わらない数字であり,ホームレス状態にある方々もそうでない方々と同様に選挙権の行使を望んでいることが分かりました。
本調査の他の項目から判明するように,社会から排除され,ホームレス状態にまで追い込まれた方々の多くが,選挙権の行使ができないことを仕方ないと受け止めたり,社会に繰り返し裏切られてきた体験の中で,政治に期待しなくなったりしがちななかで,ホームレス状態にある方々のなかに,実際の選挙の投票率と同程度の割合で選挙権の行使を望んでいる方がおられるという事実は,重く受け止めるべきものであると考えます。

●本調査で判明した事実2
ホームレス状態にある方々の多くが政治に対する期待を失っていること

選挙権を行使できない状況にある方481名に,「今回の参議院選挙において,期待する政党がありますか?」との質問を行ったところ,「ない」と答えた方が,315名(65.5%)にのぼりました。
一般の世論調査において「支持政党なし」との回答が50%ないし55%であるのに比べて,高率です。
また,選挙権を行使できない状況にある方に,「政治に対する要望はありますか?」との質問を行った(自由回答,複数回答可,無回答可)ところ,「何もしてくれないから,何も望まない。」(東京都80代男性)など,政治に期待しない旨の回答が74件もありました。
それらの中には,「どこも一緒だもん。今は何も望まない。死ぬのを待つだけ。仕事がほしいと言ってもかなわない。」(東京都70代男性)「下が言ったってしょうがない。決められたことをやらなくちゃしょうがない。」(東京都60代男性)「政治のことを考える余裕がない。今生活するので精一杯。」(愛媛県70代男性)など,社会からの排除の過程の中で,わが国の国家制度の根幹である民主主義それ自体に対してあきらめをいだいているような意見も多くありました。
このように,ホームレス状態にある方々の多くが政治に対する期待を失っていることは,これまでわが国が,生活困窮者に対する福祉政策等の貧困対策を怠り,自己責任の名のもとに,困難を抱えた方々を社会から排除してきたことの結果であると考えられます。

●本調査で判明した事実3
ホームレス状態にある方々の多くが雇用・福祉に関する要望をもっていること

選挙権を行使できない状況にある方に,「政治に対する要望はありますか?」との質問を行ったところ(自由回答,複数回答可,無回答可),仕事・雇用・景気に関する要望が127件,福祉に関する要望が102件とそれぞれ多数にのぼりました。
仕事・雇用・景気に関する要望では,「仕事と給料を増やしてほしい」(京都府50代男性)「景気をよくしてほしい」(神奈川県60代男性)「仕事を出してほしい」(愛知県50代男性)「安くてもいいから仕事を増やしてほしい」(鹿児島県60代男性)といった意見が最も多くありました。
また,「ずっとまじめに働いてきたのに54歳でリストラされてからこんな生活になった。日本は働く人を切り捨てる国だ。」(東京都60代男性)「若者が働く場所を確保してほしい。その事を社会全体で考えるべきである。夢も希望もない社会にしてほしくない」(東京都60代男性)といった,現在の日本の雇用制度や福祉制度を痛烈に批判する意見も見られました。
福祉に関する要望では,「生活保護を受けたい。高血圧で仕事ができない。」(東京都40代男性)「一軒家に住めるように生活保護にしてほしい。」(沖縄県年齢不詳男性)といった生活保護に関する要望が多く見られました。
「福祉を充実させてほしい。もういちど家族と暮らしたい。」(東京都40代男性)といった胸の詰まるような意見,「社会福祉制度についての情報を分かりやすく出してほしい。」(東京都30代男性)といった情報の周知に関する意見もありました。
こうした国民の声は,本来,投票を通じて国政に反映されるべきものです。住民票がないと選挙権が行使できないというと制度の欠陥のために,こうした切なる声がどこにも届けられることなく抹殺されてしまっている現状は,たいへんゆゆしき事態であるといわざるを得ません。

●本調査で判明した事実4
国民の多くが,ホームレス状態にある方々が選挙権の行使ができない現状について,制度の改革を望んでいること

調査対象者全員に対して,住民票がない方が選挙権を行使できないことについての意見を求めたところ(自由回答,複数回答可,無回答可),改善すべきだ,選挙に行きたいといった意見が174件と多数にのぼりました。
「成人である以上全員参加させるべきだ。」(福岡県50代男性),「住民票の地でなくても居所で選挙できるようになるべきだ。」(沖縄県60代男性),「住民票のある人ない人問わず,選挙に参加できるようにしてほしい。」(愛知県40代男性)といった意見が多く寄せられました。
また,当会は,ホームレス状態等の貧困状況に陥った方々にこそ,参政権の保証は重要なことであると考えます。本調査においても,「こういう状態になったからこそ選挙に行きたいのに行かれないのはひどいと思う,発言権がない,こういうときこそ政治家に言いたいことがいっぱいある。」(東京都40代男性),「選挙に行ったことがなく,期待している政党もないが,今は『投票したい』と思っている。」(東京都30代男性),「貧しい人たちこそ一票が大切。」(東京都40代男性)といった意見がありました。
憲法第44条は,「両議院の議員及びその選挙人の資格は,法律でこれを定める。但し,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によつて差別してはならない。」と定めています。ホームレス状態にある方々の選挙権が保証されていない現状は,実質的に,社会的身分や財産又は収入によって選挙人の資格について差別を設けている状態であり,違憲であるといわざるを得ません。

●本調査で判明した事実5
ホームレス状態にある方々の権利の擁護のために,住民登録を可能にする制度改革が重要であること

冒頭述べたように,現在のわが国の公職選挙法においては,住民登録をしなければ選挙権がないのと同様の状況におかれます。当会は,こうした状況は違憲であると考え,その是正を求めるため,本調査を行ったところですが,調査を通じて,住民登録は,選挙権の行使のみならず,社会生活を営む上での様々な場面で必要とされ,住民登録がないという状態は,選挙権が行使できないだけでなく,様々な形で困難と差別を生み出す原因となっていることが分かりました。
例えば,銀行口座の開設,携帯電話の購入といった社会生活上の基本となる契約行為においても,本人確認が必要とされるため,住民登録がない場合には,こうした社会参加のための第一歩目でつまずいてしまうのです。また,就労しようにも,多くの場合,住民票や身分証明書の提出が求められるため,住民登録がなくては就労活動もままなりません。ひいては,住民登録がなくても仕事をさせてくれる「あやしい」仕事に甘んじなくてはならなくなります。
住民票がない方々からは,「身分証明がないと何もできない社会はおかしい。ホームレスが増えた一因では?」(東京都男性30歳),「住民票がないことで存在すら認めてもらえないことになっている。」(福岡県男性57歳)といった意見がありました。
そして,選挙権行使のため,また,様々な社会生活のために,「本人が住所を設定しやすくすればよい。」(福岡県男性75歳)という意見も寄せられています。
当会は,こうした当事者の方々と意見を同じくするところであり,ホームレス状態にある方々の権利を擁護し,選挙権を行使できるようにするため,また,社会生活を不都合なく行うことができるようにするため,ホームレス状態であっても住民登録が可能になるような制度改革を行うべきであると考えます

以上

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