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【転載】緊急抗議声明

渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)さんの緊急抗議声明を転載します。

11月13日(水曜日)、渋谷警察署の警察官が、渋谷駅周辺や宮下公園の野宿者に対し、写真撮影、指紋採取を強行しました。この野宿者への差別的な人権侵害行為に対して強く抗議します。以下は今回の事態の詳細を記した「緊急抗議声明」です。転送・転載をよろしく御願いいたします。


*** 転送、転載歓迎 ***

緊 急 抗 議 声 明

 11月13日、警視庁渋谷警察署の警察官が、渋谷駅周辺や区立宮下公園の野宿者に対し、写真撮影、指紋採取を強行した。私たちは、渋谷署による野宿者への極めて差別的なプライバシー侵害、人権蹂躙行為について、怒りをもって抗議する。

 当日、午後2時頃、2名の制服渋谷署員が、宮下公園のテントを一軒、一軒回り、そこで居住する野宿者に「救急車に運ばれた時、名前がわからないと困るから」、「追い出しとは関係ないから」と話しかけ、氏名、本籍地などを聴取し、さらには写真を撮影、指紋を採取した。テントに居合わせた野宿者のほとんどが応じさせ
られた。同時間、渋谷駅前や国道246号沿い駅ガードの野宿者も渋谷署員により写真、指紋を取られた。渋谷署員は一応任意という体裁をとったというが、突然警察官に囲まれ、「協力」を求められればなかなか拒否はできず、強制に等しい。この間の政策的な治安管理強化の嵐の中で、日常的に警察官による職務質問や交番への
連行で荷物や身体の捜索を強要されている野宿者にしてみればなおさらである。そもそも今回のような警察の情報収集活動は何の法的根拠もない。同じ理由で警察がアパートや持ち家など「家のある」人から写真、指紋を取ることはありえず、「家のない」野宿者だけを対象にした極めて差別的、恣意的なプライバシーの侵害である
。絶対に許すことはできない。

 かつて野宿者を「犯罪予備軍」として警察による写真撮影、指紋採取が当たり前のように横行していた。しかし度重なる当事者や支援団体からの抗議とともに、重大な人権侵害にあたるとの社会的批判を浴び、職質や同行の強制は依然としてあるものの、写真撮影や指紋採取は目立ってなかったし、渋谷でもここ最近はなかった
。この時期、渋谷において旧態依然とした人権蹂躙行為を強行したことは、野宿者=「犯罪予備軍」とする警察権力の差別的治安対策が根強く踏襲されていることを示すとともに、この1年来、渋谷で吹き荒れている野宿者に対する追い出し・排除の動きと決して無関係ではあるまい。

 昨年10月、渋谷駅国道246号沿いガード下の住民団体による追い出し策動、12月、渋谷駅地下の東急電鉄による殺人的追い出し、今年7月、渋谷駅周辺の東急百貨店の東急百貨店による洞爺湖「G8サミット」警備に便乗した追い出し。さらには今回の攻撃の直前、今まで落ち着いていた渋谷駅地下で警備員による追い出
しの強化。いずれも当事者たちは生きるために粘り強く攻防を続けている。

 そしてその最中の5月、宮下公園のスポーツ用品大手企業ナイキによる大規模改修計画が発覚した。ナイキが数億かけてスケートボード場やオープンカフェなどを新設し、渋谷区に施設命名権料を払って「ナイキ公園」に名称を変更するという計画。これが実現されると宮下でテントを張っている約30名の野宿者の生存と生活
の基盤が奪われ、10年以上続けてきた渋谷の夏まつりや野宿者の命を守る越年闘争ができなくなる。さらに本来、公共の場所であるはずの公園を「商業スペース」に転換することによって、一服したり食事したりする憩いの場や、長年、運動団体が集会やデモをするために利用してきた表現の場が喪失してしまう。私たちは区長と
一部区議のトップダウンによるこの計画を阻止するため、様々な立場から計画に反対する有志とともに、6月、「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」を結成。以降、7月、「G8サミット」北海道現地闘争と呼応するナイキ本社行動、8月、これで最後にしないための盛大な夏まつり、9月、10月、2波にわたる宮下公
園での集会、デモなどを取り組んできた。これまでの闘いにより、ナイキも渋谷区も確実に追い詰められている。

 今年6月の副都心線開通、4年後の東横線の地下化など渋谷駅を中心にした巨大な再開発計画が進められており、宮下公園の「ナイキ化」も含め、渋谷の野宿者に対する一連の追い出しは明らかに連動している。今回の渋谷署による攻撃もこれらの計画に「邪魔な」渋谷の野宿者に対する圧力に他ならない。計画によって巨利を
むさぼろうとする東急やナイキといった一部の大企業とそのおこぼれを預かろうとする渋谷区長とその取り巻き区議会議員、そしてそれらの意図に忠実な番犬としての暴力装置である渋谷署、まさに民−官−警一体となって野宿者を追い出し、野垂れ死にを強制しているのだ。
 私たちは今回の渋谷署による野宿者の写真撮影、指紋採取攻撃に対して厳重に抗議するとともに、違法かつ不当に収集した野宿者の個人情報の破棄と真摯な謝罪を求める。また野宿者の生存と生活を守り抜くため、渋谷や全都、全国の仲間とともに闘い続ける。


                      2008年11月15日

渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)
対都行動を闘う全都野宿労働者行動実行委員会(全都実)
連絡先 東京都渋谷区東1−27−8 03−3406−5254

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【怒】ホームレスに違法な対応を行う台東区に対する意見書

意 見 書

平成20年11月5日

台東区 区長 吉 住   弘 様
台東区福祉事務所 所長 笹 田   繁 様


私たちは,ホームレス問題,貧困問題,生活保護問題に関心を寄せる弁護士・司法書士です。
ところで,貴庁においては,平成20年10月27日から,「一般の業務に対し支障を来す」ことを理由に,①ホームレス状態にある要保護者に対しては,生活保護の申請があっても,1日10人まで制限を設けて,急迫状態にあるかどうか調査することなく,それ以上の面接をしない。②ホームレス状態にある要保護者から生活保護の申請があった場合には,現物給付の緊急宿泊施設以外の待機を認めない。という運用を開始しました。

上記の運用は,以下に指摘するとおり明らかに違法なので,本書をもって意見を呈し,その是正を求めます。
なお,貴庁の明らかに違法な運用は,可及的速やかに改善されるべきであるので,本意見はこれを公開します。


1.貴庁の運用はホームレスへの差別を伴う申請権侵害です

(1) 台東区福祉事務所からの説明によると,「一般の業務に対し支障を来すため」面接人数に制限を設けるとのことでした。しかしながら,このような運用はすべての人に生活保護の申請権を認めた生活保護法(以下,単に「法」といいます。)2条,7条に明らかに反するのみならず,ホームレス状態にあることを理由に他の人と区別し,制限を設けることは法の下の平等を定めた憲法14条1項に反し,憲法第25条の理念を具体化させた法律である法2条に明確に謳われる無差別平等原則にも反するものであり,明らかに違法な運用です。
言うまでもないことですが,地方自治体たる貴庁には,ホームレスに対する偏見や差別意識を解消し,人権尊重思想の普及高揚を図るための策を施す責任があります。本件運用は,その責任を忌避するのみならず,ホームレス状態にあることをもって劣等処遇することを組織として決していることに他ならず言語道断なものです。
仮に,説明の趣旨がホームレス状態にある人を含めての,新規の生活保護の申請一般についてのものであると解したとしても,結果として,相当人数しか面接ができなかったのであればまだしも,はじめから人数を制限することは,それ自体申請権の侵害であり違法です。


2.貴庁は急迫性について十分な調査をし必要な場合にはただちに保護開始すべきです
(1)法25条1項は,要保護者が急迫した状況にあるときは,保護の実施機関はすみやかに職権を発動して保護を適用することを義務づけています。このことは,法4条3項の規定から,その者が保護の要件を欠いている場合も同様です。したがって,保護申請を行った者が社会通念上放置し難いと認められる状況にある場合は,資産調査等が未済でまだ保護の要件が確認できていなくても,保護の実施機関である福祉事務所はすみやかに開始決定を行う義務があります。急迫した要保護者に対する保護の適用については,いささかの懈怠も許されず,福祉事務所は直ちに保護の開始決定を行わなければなりません。
この点,いわゆるホームレス状態にある人たちは,憲法25条第1項に定められた健康で文化的な最低限度の生活を維持する居宅,食料,収入を得ることができないことは明らかです。このまま路上に放置することは,彼らの体力は衰えるばかりであり,生命の危険も十分に認められるところであります。

(2)仮に,ホームレス状態にあることが直ちに急迫状態にあるとはいえないとしても,保護の実施機関としては,最低限,急迫状態にないことを面接等により確認する必要があります。貴庁の今回の対応は,はじめより面接人数を制限していることからも明らかなように,そもそも急迫性の有無すら調査していないのですから,法4条3項及び25条1項から導き出される責任を放棄しているといえ違法です。
  しかも,10月27日に生活保護申請をした後に,路上で待機することを余儀なくされた当事者の中には,結核を罹患している者がおります。その者に対しても,要保護状態にあることを知りながら調査をせず医療の提供をしなかったのでありますから,その不作為に対する責任は重大かつ深刻です。


3.貴庁の運用は住所がないことを理由とする劣等処遇を強いるものです。

(1)生活保護法は住居を有しない人を保護の対象者として予定しており(同法19条2項2号),その場合の都道府県と区市町村間の費用の分担に関する規定を設けています(法73条1項)。この点は厚生労働省も「居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではない」という通知を繰り返し出しています。

(2)一部地方自治体では,具体的に保護を開始すべき場所がないことを理由に,緊急宿泊所への入所がなければ生活保護を開始できないと虚偽の説明しているようですが,住居のない人に対する保護は「現在地保護」となり,その人が現在いる場所を所管する福祉事務所が管轄の実施機関となります(法19条1項2号)。また,テント等を有しないホームレスの方で転々と各地を移動している方に対して,今現在福祉事務所の窓口にいることから福祉事務所の所在地を「現在地」として保護を開始した例も多数あります。

(3)特に,生活保護法30条1項本文は,「生活扶助は,被保護者の居宅において行うものとする」として,居宅保護の原則を宣明しています。そして,同条但書きは,「これによることができないとき,これによっては保護の目的を達しがたいとき,又は被保護者が希望したときは,被保護者を(略)適当な施設に収容し(略)て行うことができる」として,収容保護はあくまでも例外であることを明らかにしています。

(4)このように,生活保護法が居宅保護を原則としたのは,施設での集団生活ではなく,居宅での生活を望むのが人として当然の心情であり,地域社会の中で自らの意思決定のもと人間らしい生活をおくることこそが「自立の助長」という生活保護法の目的を達成するためにふさわしいからです。

(5)また,同条2項は,「前条ただし書の規定は,被保護者の意思に反して,入所(略)を強制することができるものと解釈してはならない」とし,居宅保護が収容保護かを選択するにあたっては,「収用保護を拒否する要保護者ないし被保護者が,意に反する収用保護を受け入れるか,さもなければ保護を受けることを断念するかという選択を強いられる事態を可能な限り避ける」ための最大限の配慮を要するかであって(大阪地裁判決平成14年3月22日(「賃金と社会保障」1321号10頁参照),被保護者の意思を尊重すべきことをこれ以上ないほど明確にしている規定です。

(6)この理は,住居を有しないホームレスの人であっても当然に妥当し,住居のない人が居宅保護を望んだ場合には,敷金等の住宅費を支給して住宅を確保し,さらに布団代,被服費,家具什器代の生活費を支給して,居宅での生活保護を開始すべきが法の建前です(この点,前掲大阪地裁判決平成14年3月22日も「要保護者が現に住居を有しない場合であっても,そのことによって直ちに同項にいう『これによることができないとき』に当たり,居宅保護を行う余地はないと解することは相当ではない。」と明確に判示し,控訴審の大阪高裁判決平成15年10月23日(「賃金と社会保障」1358号10頁)もかかる判断を是認しています。)。

(7)法は,金銭給付を原則としています。その理由は,居宅保護を原則とすると同様に,保護の目的を達成できる範囲においては,可能な限り要保護者の自由処分を認め人権を尊重するための配慮からであり,生活保護開始決定までの期間内であったとしても,申請人の自由を廃して,収容以外の方法でなければ一切の給付をしないという対応は誤りであることは,このことからも明らかです。

4.法に基づいた適正な運用を求めます

 以上のとおり,貴庁の今回の運用は,生活保護法に照らし,重大な疑義があると言わざるを得ません。
 私たちは,法律専門家の立場から,貴庁に対し,生活保護法に基づいた適正な運用を行うよう要望いたします。

以 上

賛同者一同(51名)

飛鳥井 行 寛(埼玉司法書士会)
東   奈 央(第二東京弁護士会)
安 藤 剛 史(東京司法書士会)
安 藤 信 明(東京司法書士会)
安孫子 理 良(東京弁護士会)
石 井 寛 昭(東京司法書士会)
江野尻 正 明(大阪弁護士会)
大 冨 直 輝(東京司法書士会)
長 田 悦 子(埼玉司法書士会)
小 澤 吉 徳(静岡県司法書士会)
大 谷   潔(神奈川県司法書士会)

角 田 正 志(福島県司法書士会)
木 谷 公士郎(兵庫県司法書士会)
木 下   徹(東京弁護士会)
久保山 且 也(佐賀県司法書士会)
楠   高 志(札幌司法書士会)
後 閑 一 博(東京司法書士会)
小 島 好 己(東京弁護士会)
古根村 博 和(神奈川県司法書士会)
小久保 哲 郎(大阪弁護士会)

酒 井 恵 介(東京弁護士会
酒 井 健 雄(第二東京弁護士会)
佐 野 就 平(京都弁護士会)
芝 田   淳(鹿児島県司法書士会)
白 井 晶 子(第二東京弁護士会)
菅 本 麻衣子(広島弁護士会)
杉 本   朗(横浜弁護士会)
鈴 木 順 平(愛知県司法書士会)
関 根 圭 吾(東京司法書士会)

戸 舘 圭 之(第二東京弁護士会)

中 川 素 充(東京弁護士会)
中 村 守 男(熊本県司法書士会)
西 田 美 樹(東京弁護士会)
西 野   智(京都司法書士会)

濱 田 なぎさ(福岡県司法書士会)
早 坂 智佳子(山形県司法書士会)
林     治(東京弁護士会)
舟 木   浩(京都弁護士会)
福 原 正 和(千葉司法書士会)

丸 山 由 紀(東京弁護士会)
村 上 美和子(東京司法書士会)
森 川   清(東京弁護士会)
森 川 文 人(第二東京弁護士会)

谷 崎 哲 也(福岡県司法書士会)
山 本 栄 一(東京司法書士会)
山 本 志 都(東京弁護士会)
山 内 隆 之(東京司法書士会)
吉 田 悌一郎(東京弁護士会)
吉 田 雄 大(京都弁護士会)

力 丸   寛(東京司法書士会)

渡 邉 恭 子(東京弁護士会)


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